【書評レビュー】アメリカに潰された政治家たち
こんにちは、まつまるです。
今回は「アメリカに潰された政治家たち」というキャッチーなタイトルがつけられた本を読んでみました。
著者は孫崎享(まござきうける)です。1943年旧満洲生まれ、1966年に外務省に入省後、駐ウズベキスタン大使、国政情報局長、駐イラン大使を経て、2009年まで防衛大学校教授を務めていました。
まあ、いわゆるエリートですね。
この本を読めば既得権益を壊そうとして自主自立を目指した日本の政治家たちが、どのように潰されたのか、岸信介(安倍元総理の祖父)、田中角栄を中心として語られています。今回はこの2人が如何に潰されたかを紹介したいと思います。
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この問題は決して過去だけで完結する話ではなく現代にも繋がっているので、菅新総裁が既得権益を打ち払っていきたいと記者会見で言っていたけれど、何と戦っていくのか?が少し見えてくるはずです。
例えば、菅さんはアメリカ追従から日本の自主自立を目指して既得権益や前例主義を取っ払っていきたいというのが根底にあると僕個人的には思いました。
あれ?日本の自主自立?日本は独立国家じゃん。何言ってんの?って方にこそ読んでもらいた本で、度肝を抜かれるかと思います。
それでは本題に入っていきましょう。
岸信介
岸信介は安倍晋三元総理のおじいちゃんです。そう考えると少し身近に感じるのではないでしょうか。昭和の妖怪と称されるほどの切れ物だったそうです。
岸は日米開戦時に商工大臣であり、1945年の終戦後A級戦犯として巣鴨拘置所に拘置されました。
戦後間もなく、1951年に日米安保条約というものをアメリカと締結しました。これはかなり不平等な条約で、日本の土地を米軍に貸さなければならないのに米軍は日本を防衛する義務がないことになっていました。
岸はこのあまりにも不平等な条約を改定するために政治人生を懸けます。
それが安保闘争という戦後最も大規模なデモに繋がり、岸政権の失脚を生み出す要因になりました。
この安保闘争というのは、岸が1951年に締結された日米安保条約を改定に対しての抗議デモだったのです。普通に考えればなんで抗議デモが起きるのって感じですよね?
そもそも日米安保条約を改定して困るのは誰でしょうか。そう、アメリカですよね。
安保闘争は元A級戦犯容疑者である岸信介が日米安保条約の改定を主導しており、戦後間もない状況で再び軍国主義になるのではと煽ったメディアとデモ部隊に資金を提供していた人物によって大規模化されていきました。
これは全部アメリカの息が掛かっているのです。
ただ、岸政権にも問題はありました。日米安保条約の改定を反対する人たちの国会審議の妨害を無視し、強行採択を選びました。
これによって、さらに大規模デモとなり全国各地で560万人が集い一気に盛り上がりました。そして、徐々に日米安保条約の改定反対から岸政権打倒に目的がすり変わっていきます。
しかし、岸は日米安保条約の改定をやり抜き1960年に「危険があれば、アメリカの憲法上の手続きに従って共通の危険に対処するよう行動する」と約束しています。さらに10年後には安保条約を一方的に破棄できるようにして、再交渉して新たな日米安保条約を締結できるようにしました。
当時デモに参加していた人たちにインタビューすると、そもそも安保条約がなんだったかさえも理解していなかったと言っています。つまりノリでやっていたことを認めており、これがキッカケで日本はアメリカの言いなりに政治が進んでいきます。
ちなみに岸が潰された要因としてもう1つ挙げられるのは、日中貿易の拡大です。アメリカは中国の共産化拡大を恐れていたので、日本が勝手に経済協力することを嫌っていました。
アメリカは日本の国益はどうでもよく、アメリカの国益に損があれば叩き潰すのです。これは歴史を振り返れば誰が見ても明らかです。
田中角栄
田中角栄は誰しも一度は聞いたことあると思います。中卒から日本のトップに成り上がり、明晰かつ徹底した行動力からコンピューター付きブルドーザーという異名を持っています。
田中角栄といえば、日中国交正常化とロッキード事件が有名どころですが、耳にしたことがあると思います。
詳細は省きますが、著者いわく、アメリカの意向を無視して日中国交正常化を実行した田中はアメリカに目をつけられ、そこで起きたのがロッキード事件です。金も人脈も盤石な田中には事件を作るしかなかったのです。
それほど、中国問題はアメリカにとって重大な案件でした。そう考えるとアメリカvs中国という関係は今に始まった問題ではないですね。
アメリカと戦った12人の政治家
ここでは日本の自主自立を目指した政治家を紹介します。
ここの名前は特に覚えなくても良いかと思います。
ちなみに菅義偉総理は梶山静六を師匠としています。つまり、菅さんも基本的には日本の自主自立を目指していると思います。
しかし、表立ってアメリカに不利益が生じる施策を打ち出すと潰されるのは過去を学べば分かっているので、派手なことはしないが時期を見て憲法改正などに着手するのではと考えられます。
そういう視点で今の政治を見ると少し面白いかなと思いました。
まとめ
政治っておもしろいとおもた